結論:業法の数字は「4つのグループ」に分けて覚える
宅建業法は全50問中20問を占める最大の得点源です。その中で、数字が正誤の分かれ目になる問題は少なくありません。35条書面と37条書面、8種制限、報酬の上限、免許や宅建士証の有効期間――覚えるべき数字は多いですが、バラバラに暗記するのではなく、まず4つのグループに分けることが出発点です。
グループごとに「誰を守るための数字か」を押さえれば、似た数字の混同が減ります。たとえば「20%」は手付の上限でも違約金の上限でもありますが、どちらも「自ら売主となる宅建業者から買主を守る」という同じ方向のルールです。数字の意味が見えれば、選択肢の正誤も原則から判断しやすくなります。
宅建業法が最重要である理由と原則から考える勉強法もあわせて読むと、この記事の覚え方がより使いやすくなります。
本サイト10年分データで見る業法の出題頻度
本サイトには、平成28年から令和7年までの過去問10年分・全497問が収録されています。そのうち宅建業法は198問で、年ごとの内訳は20問が8年、19問が2年(令和2年・令和4年)でした。つまり、10年平均は19.8問で、試験の標準的な構成である「宅建業法20問」とほぼ一致します。
次の集計は、その198問の問題文と選択肢にテーマのキーワードが含まれるかを数えた簡易集計です。1問が複数のテーマにまたがる場合があるため、各テーマの件数を合計すると198を超えます。順位そのものよりも、「どのテーマの数字が繰り返し問われているか」という目安として読んでください。
| テーマ | 出現件数(198問中) | 読み方 |
|---|---|---|
| 免許・登録 | 52問 | 免許の有効期間・更新・宅建士の登録が最も多い |
| 重要事項説明 | 45問 | 35条書面の説明義務と記載事項が中心 |
| 37条書面 | 45問 | 交付の時期と記載事項が繰り返し問われる |
| 35条書面 | 39問 | 「35条」と明記される問は39問。説明義務とセットで出る |
| 手付金 | 28問 | 20%の上限と保全措置のしきい値が中心 |
| 供託・保証金 | 27問 | 営業保証金・弁済業務保証金の区別が問われる |
| 広告 | 25問 | 誇大広告の禁止と取引態様の明示が中心 |
| 報酬 | 18問 | 上限の計算と低廉な空家等の特例が中心 |
| 保証協会 | 14問 | 分担金・弁済業務の流れが問われる |
| 営業保証金 | 14問 | 主たる事務所1,000万円・従たる事務所500万円が定番 |
| 専任媒介 | 12問 | 有効期間3か月・報告の頻度・登録期限が中心 |
| クーリング・オフ | 12問 | 8日という数字と適用除外が中心 |
この表から分かるのは、業法の数字が「満遍なく出る」のではなく、「出る場所が偏っている」ということです。特に免許・35条・37条は、10年を通して繰り返し出ています。学習時間の配分も、この偏りに合わせるのが合理的です。
なお、競合する他サイトの数字まとめ記事でも、業法の数字は「免許・35条・37条・8種制限・報酬」の5つに分けて整理する形が共通しています。本記事は、その整理を本サイトの実データで裏付けたうえで、テーマごとの解法と引っかけまでを一本化した点が違います。論点の切り口だけを参考にし、文章や表の構成は本サイトのオリジナルです。
グループ1:免許・宅建士・保証金の数字
最初のグループは、宅建業を営むための土台になる数字です。免許の有効期間、宅建士の登録と宅建士証、営業保証金と弁済業務保証金の区別が中心です。ここは「5年」「30日」「2週間」「1,000万円」「60万円」という数字の組み合わせで覚えます。
免許の有効期間は5年です(宅建業法3条2項)。更新の申請は、有効期間の満了の日の90日前から30日前までの間にしなければなりません(同法施行規則3条)。免許の更新申請の期限を、宅建士証の更新と混同しないことが大切です。宅建士証の更新に「90日前から30日前まで」という定めはありません。
免許を受けた事項に変更があったときは、30日以内に変更の届出をしなければなりません(宅建業法9条)。「30日」という数字は、他の場面でも出てきます。割賦販売の解除では「30日以上の期間を定めて催告する」という数字が出るため、場面と数字をセットで覚えてください。
| 項目 | 数字 | 条文 |
|---|---|---|
| 免許の有効期間 | 5年 | 宅建業法3条2項 |
| 免許の更新申請 | 満了の日の90日前から30日前まで | 同法施行規則3条 |
| 免許事項の変更届出 | 30日以内 | 宅建業法9条 |
| 宅建士証の有効期間 | 5年 | 宅建業法22条の2第3項 |
| 宅建士証交付の講習 | 申請前6か月以内に行われる講習 | 宅建業法22条の2第2項 |
| 宅建士の登録要件 | 実務経験2年以上(または実務講習) | 宅建業法18条1項・施行規則13条の15 |
| 専任の宅建士の設置 | 事務所ごとに置く。従業者の5人に1人以上の割合 | 宅建業法31条の3第1項・施行規則 |
| 専任の宅建士が不足したときの措置 | 2週間以内に補充する | 宅建業法31条の3第3項 |
| 営業保証金 | 主たる事務所1,000万円、従たる事務所1か所500万円 | 宅建業法施行令2条の4 |
| 弁済業務保証金分担金 | 主たる事務所60万円、従たる事務所1か所30万円 | 宅建業法施行令7条 |
| 業務停止処分 | 1年以内 | 宅建業法66条 |
| 宅建士の事務禁止処分 | 1年以内 | 宅建業法68条 |
営業保証金と弁済業務保証金分担金の区別も、数字で覚えると整理しやすくなります。営業保証金は、宅建業者が供託所に供託するお金で、主たる事務所1,000万円、従たる事務所1か所につき500万円です。保証協会に加入した宅建業者は、営業保証金の供託が免除される代わりに、保証協会へ弁済業務保証金分担金を納付します。分担金は、主たる事務所60万円、従たる事務所1か所につき30万円です。
営業保証金
- 宅建業者が供託所に供託するお金
- 主たる事務所1,000万円、従たる事務所1か所500万円
- 保証協会に加入していない業者が供託する
弁済業務保証金分担金
- 保証協会に加入した業者が協会へ納付するお金
- 主たる事務所60万円、従たる事務所1か所30万円
- 納付すれば営業保証金の供託は不要になる
「1,000万円」と「60万円」は、どちらも「主たる事務所」の数字ですが、制度が違います。選択肢では、営業保証金の額として「60万円」が出されたり、分担金の額として「1,000万円」が出されたりする引っかけがよくあります。制度の名前と数字をセットで覚えてください。
グループ2:媒介契約と報酬の数字
二つ目のグループは、媒介契約と報酬の数字です。専任媒介契約の有効期間、業務処理状況の報告の頻度、指定流通機構への登録期限、そして報酬の上限計算が中心です。ここは「3か月」「7日・5日」「2週間・1週間」「3%+6万円」という数字の組み合わせで覚えます。
媒介契約を締結したときは、遅滞なく媒介契約書面を交付しなければなりません(宅建業法34条の2第1項)。専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができず、更新するときも3か月までです(同条3項)。専属専任媒介契約も同じく3か月までです(同条4項)。「専任」と「専属専任」で有効期間が変わることはありません。変わるのは、報告の頻度と指定流通機構への登録期限です。
| 項目 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 有効期間 | 3か月まで | 3か月まで | 34条の2第3項・第4項 |
| 業務処理状況の報告 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 | 34条の2第9項 |
| 指定流通機構への登録 | 7日以内 | 5日以内 | 34条の2第5項・第6項 |
| 自己発見取引 | できる | できない | 34条の2第4項 |
報酬の上限は、売買代金を3つの価格帯に分けて計算します(宅建業法46条1項・国土交通省告示)。税抜の代金で、200万円以下の部分は5%、200万円を超え400万円以下の部分は4%、400万円を超える部分は3%です。400万円を超える取引では、「代金×3%+6万円」という速算式で同じ額が出せます。これに消費税がかかります。
報酬の上限を速算式で計算する
- 1代金が400万円を超えるかを確認する:超えていれば速算式が使える
- 2代金×3%+6万円を計算する:税抜の代金で計算する
- 3消費税を加える:課税事業者の場合、上限額に消費税相当額を加える
- 4依頼者の一方からの上限であることを確認する:売主・買主それぞれに上限が決まっている
たとえば、代金3,000万円の売買では、速算式で3,000万円×3%+6万円=96万円(税抜)が上限です。税込では105万6,000円になります。代金500万円なら、500万円×3%+6万円=21万円(税抜)です。200万円以下の部分は5%、200万円を超え400万円以下の部分は4%という区分を、そのまま計算しても同じ額になります。
低廉な空家等の特例も押さえておきましょう。2024年(令和6年)7月1日から、売買代金が800万円以下の宅地・建物(低廉な空家等)の媒介では、媒介契約の前に説明と合意があれば、通常の上限を超えて、30万円の1.1倍(税込33万円)まで報酬を受け取ることができます。対象は空き家かどうかなどの使用の状態を問わず、価格が800万円以下かどうかで決まります。
| 項目 | 数字 | 根拠 |
|---|---|---|
| 報酬の上限(200万円以下の部分) | 5% | 国土交通省告示(宅建業法46条1項) |
| 報酬の上限(200万円超400万円以下の部分) | 4% | 同上 |
| 報酬の上限(400万円を超える部分) | 3% | 同上 |
| 速算式(400万円超) | 代金×3%+6万円 | 同上 |
| 低廉な空家等の特例 | 代金800万円以下で30万円の1.1倍(税込33万円)まで | 同告示第七(2024年7月1日施行) |
報酬の上限は「依頼者の一方から受け取れる額」です。売主と買主の両方から受け取る場合、それぞれの上限を超えてはなりません。合計で上限を超えてはいけない、という意味ではありません。
グループ3:35条書面と37条書面の対比
三つ目のグループは、35条書面と37条書面です。業法で最も出題頻度が高く、数字の混同が最も起きやすいテーマです。覚え方の軸は「いつ、誰が、何をするか」です。35条書面は契約を締結する前に、宅建士が説明して交付します。37条書面は契約成立後、遅滞なく交付します。
35条書面は「重要事項説明書」とも呼ばれます。宅建士が、契約を締結する前に、買主・借主に対して重要事項を説明し、書面を交付するものです。説明のときは、相手方から請求がなくても宅建士証を提示しなければなりません(宅建業法35条4項)。35条書面への宅建士の記名も必要です。
37条書面は「契約内容を明らかにする書面」です。契約が成立した後、遅滞なく交付します。こちらは説明までは求められず、交付が中心です。宅建士の記名は37条書面にも必要です。
35条書面(重要事項説明書)
- 契約を締結する前に交付する
- 宅建士が説明する。宅建士証の提示が必要
- 説明の対象は買主・借主
37条書面(契約内容を明らかにする書面)
- 契約が成立した後、遅滞なく交付する
- 説明までは求められない。交付が中心
- 宅建士の記名が必要
| 区別 | 35条書面 | 37条書面 |
|---|---|---|
| 交付の時期 | 契約を締結する前 | 契約成立後、遅滞なく |
| 宅建士の関わり | 説明する。宅建士証を提示する | 交付する。記名が必要 |
| 主な記載事項 | 登記された権利、法令上の制限、私道負担、供給施設の整備状況、手付金等の保全措置、支払金等の保全措置、契約解除・違約金の定めなど | 当事者の氏名・住所、物件の特定、代金・支払時期・方法、引渡しの時期、移転登記の申請時期、契約解除・違約金、手付解除、割賦販売の条件など |
| 条文 | 宅建業法35条 | 宅建業法37条 |
35条書面と37条書面の記載事項は、似た項目が並ぶため、選択肢では「35条書面に書くべき事項」として37条書面の項目が出されたり、その逆が出されたりします。たとえば「代金の額と支払時期」は37条書面の記載事項で、35条書面の記載事項ではありません。「手付金等の保全措置」は35条書面の記載事項です。項目を丸暗記するのではなく、「契約の前に知っておくべきことか、契約の内容を確認するものか」という役割の違いで整理してください。
グループ4:8種制限の数字総まとめ
四つ目のグループは、8種制限です。宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者でない取引にだけ適用される特別なルールです。媒介(仲介)取引には適用されず、買主が宅建業者である取引にも、多くの制限は適用されません。まずこの適用範囲を押さえてから、8つの制限と数字を確認してください。
8種制限の8つは、次のとおりです。数字が絡むのは、クーリング・オフの8日、手付・違約金の20%、保全措置の5%・10%・1,000万円、契約不適合の2年、割賦販売の30日・10分の3です。
| 8種制限 | 内容 | 数字 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 1. 自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限 | 未完成物件は許可等の処分を受けた後でなければ契約できない | — | 33条の2 |
| 2. クーリング・オフ | 事務所等以外の場所での申込み・契約は、書面で告げられた日から8日以内に書面で解除できる | 8日 | 37条の2 |
| 3. 損害賠償額の予定等の制限 | 違約金と損害賠償額の予定は合算して代金の20%まで | 20% | 38条1項 |
| 4. 手付の額の制限 | 手付は代金の20%まで。受け取った手付は解約手付として扱う | 20% | 39条 |
| 5. 手付金等の保全措置 | 未完成は代金の5%超・完成は10%超、または1,000万円超で保全措置が必要 | 5%・10%・1,000万円 | 41条・41条の2 |
| 6. 契約不適合責任の特約の制限 | 買主に不利な特約は原則無効。引渡しから2年以上とする特約は有効 | 2年 | 40条 |
| 7. 割賦販売契約の解除等の制限 | 30日以上の期間を定めて書面で催告しなければ解除できない | 30日以上 | 42条1項 |
| 8. 所有権留保等の禁止 | 代金の10分の3を超える額の支払を受けるまで所有権留保等の特約は禁止 | 10分の3 | 43条 |
保全措置のしきい値は、計算問題でも問われやすいポイントです。未完成物件では、手付金等が代金の5%を超えるか、1,000万円を超えるときに保全措置が必要です。完成物件では、代金の10%を超えるか、1,000万円を超えるときに保全措置が必要です。つまり、受け取る額が「代金の5%以下かつ1,000万円以下」(未完成)または「代金の10%以下かつ1,000万円以下」(完成)なら、保全措置は不要です。
たとえば、代金4,000万円の未完成物件では、手付金が200万円(5%)ちょうどなら保全措置は不要です。201万円になれば、5%を超えるため保全措置が必要になります。代金4,000万円の完成物件では、手付金が400万円(10%)ちょうどなら不要で、401万円になれば必要です。「超える」という言葉の意味を、ちょうどの数字で確認しておくことが大切です。
保全措置が必要なとき
- 未完成:手付金等が代金の5%を超える、または1,000万円を超える
- 完成:手付金等が代金の10%を超える、または1,000万円を超える
- 措置を講じてからでないと手付金等を受け取れない
保全措置が不要なとき
- 未完成:代金の5%以下かつ1,000万円以下
- 完成:代金の10%以下かつ1,000万円以下
- 「ちょうど」の数字は「超える」に当たらない
クーリング・オフは、宅建業者が自ら売主となる売買で、買主が事務所等以外の場所で申込み・契約をした場合に使えます。書面で告げられた日から8日以内に、書面で解除の意思表示をすれば、契約を解除できます。ただし、買主が自ら申し出て自宅や勤務先で申込みをした場合や、代金の全額を支払い、引渡しを受けた場合など、クーリング・オフが使えない場面もあります。「8日」という数字と、適用除外の場面をセットで覚えてください。
頻出数字の早見表(全数字を1枚に)
ここまでの4グループの数字を、1枚の早見表にまとめました。直前期には、この表だけを繰り返し見直す使い方もできます。条文番号とセットで覚えると、選択肢の「条文番号の入れ替え」にも対応しやすくなります。
| 数字 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 5年 | 免許の有効期間 | 3条2項 |
| 5年 | 宅建士証の有効期間 | 22条の2第3項 |
| 90日前〜30日前 | 免許の更新申請の期間 | 施行規則3条 |
| 30日以内 | 免許事項の変更届出 | 9条 |
| 2週間以内 | 専任の宅建士が不足したときの措置 | 31条の3第3項 |
| 1,000万円・500万円 | 営業保証金(主・従) | 施行令2条の4 |
| 60万円・30万円 | 弁済業務保証金分担金(主・従) | 施行令7条 |
| 3か月 | 専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間 | 34条の2第3項・第4項 |
| 2週間に1回以上 | 専任媒介契約の業務処理状況の報告 | 34条の2第9項 |
| 1週間に1回以上 | 専属専任媒介契約の業務処理状況の報告 | 34条の2第9項 |
| 7日以内 | 専任媒介契約の指定流通機構への登録 | 34条の2第5項 |
| 5日以内 | 専属専任媒介契約の指定流通機構への登録 | 34条の2第6項 |
| 5%・4%・3% | 報酬の上限(200万円以下・200万円超400万円以下・400万円超) | 国土交通省告示 |
| 3%+6万円 | 報酬の速算式(400万円超) | 同上 |
| 800万円以下・33万円 | 低廉な空家等の特例(30万円の1.1倍まで) | 同告示第七 |
| 契約締結前 | 35条書面の説明・交付 | 35条 |
| 契約成立後、遅滞なく | 37条書面の交付 | 37条1項 |
| 8日 | クーリング・オフの期間 | 37条の2第1項1号 |
| 20% | 損害賠償額の予定・違約金の上限(合算) | 38条1項 |
| 20% | 手付の額の上限 | 39条1項 |
| 2年以上 | 契約不適合の通知期間の特約(引渡しから) | 40条 |
| 5%・1,000万円 | 手付金等の保全措置のしきい値(未完成) | 41条・施行令3条の5 |
| 10%・1,000万円 | 手付金等の保全措置のしきい値(完成) | 41条の2・施行令3条の5 |
| 30日以上 | 割賦販売の解除等の制限(書面で催告する期間) | 42条1項 |
| 10分の3 | 所有権留保等の禁止のしきい値 | 43条 |
| 1年以内 | 業務停止処分・宅建士の事務禁止処分の期間 | 66条・68条 |
| 2年 | 宅建士の登録要件(実務経験) | 18条1項・施行規則13条の15 |
| 6か月以内 | 宅建士証交付の講習(申請前) | 22条の2第2項 |
| 5人に1人以上 | 専任の宅建士の設置の割合 | 31条の3第1項・施行規則 |
数字の引っかけ見抜き方チェックリスト
業法の数字の問題では、選択肢の文面が「それらしく」作られています。次のチェックリストを、問題を解くときの最終確認として使ってください。数字そのものが正しくても、場面や制度が違えば誤りになります。
| 引っかけのパターン | 見抜くための一言 | 例として意識する場面 |
|---|---|---|
| 制度の入れ替え | 営業保証金と分担金、35条と37条を区別する | 保証金・書面の問題全般 |
| 数字の入れ替え | 5%と10%、7日と5日、2週間と1週間を区別する | 保全措置・専任媒介の問題 |
| 場面の取り違え | 8種制限の適用範囲を先に確認する | 自ら売主か媒介か、買主が宅建業者か |
| 「超える」の読み違い | ちょうどの数字は「超える」に当たらない | 保全措置のしきい値 |
| 合算と別々の混同 | 違約金は合算、手付は別々の上限 | 38条と39条の問題 |
| 条文番号の入れ替え | 42条は解除の制限、43条は所有権留保の禁止 | 割賦販売の問題 |
選択肢の文末が「〜することができる」「〜しなければならない」「〜することはできない」のどれかで、正誤が逆転する問題が少なくありません。数字が正しくても、文末まで読んでから判定する習慣を、分野別演習の段階から身につけてください。
得点戦略と学習計画:業法16問への配分
得点戦略は、分野全体で考えることが大切です。業法で16問を狙う場合、残りの30問で合格ラインに届く設計が必要です。合格ラインは年度によって変動しますが、業法を「数字で落とさない」ことで、他の分野への負担を減らす方向に働きます。
上の目安は、あくまで一つの配分例です。合計すると37問になりますが、合格ラインは年度ごとに変動するため、この数字自体が合格を保証するものではありません。大切なのは、「業法で16問を取る前提で、他の分野をどう組み立てるか」という設計を持つことです。
数字を定着させる進め方
- 14グループに分けて一巡する:この記事の早見表を手元に置き、グループごとに数字を確認する
- 2本サイトの分野別演習で業法だけを続けて解く:数字が問われる問題で、引っかけチェックリストを使う
- 3間違えた数字だけを抜き出して表にする:自分の弱い数字だけを集めた表を作り、直前期に見直す
- 4年度別演習で時間配分を測る:50問通しで、業法の数字問題に時間をかけすぎていないかを確認する
過去問10年分の使い方では、分野別演習と年度別演習の往復が解説されています。業法の数字は、分野別でこの記事の表を身につけてから、年度別で本番の流れを測る順序が合います。権利関係の頻出論点まとめでは、権利関係の14問中10問を狙う勉強法をまとめています。業法とあわせて読むと、分野別の目標点数の配分が見えやすくなります。
よくある質問
Q. 宅建業法の数字は、すべて覚えなければなりませんか。
A. すべてを同じ重みで覚える必要はありません。まず頻出の数字(5年・8日・20%・3か月・5%・10%・1,000万円)から押さえ、次に専任媒介の報告・登録期限や報酬の速算式へ広げる順序が効率的です。本記事の早見表で、頻出の数字から順に確認してください。
Q. 35条書面と37条書面の違いが覚えられません。
A. 「35条は契約の前、37条は契約の後」という一文で覚えてください。35条書面は契約を締結する前に宅建士が説明して交付するもの、37条書面は契約が成立した後に遅滞なく交付するものです。説明と宅建士証の提示が必要なのは35条だけです。
Q. 手付の20%と違約金の20%は、合算するのですか。
A. 合算しません。手付の額は代金の20%まで(39条1項)、違約金と損害賠償額の予定は合算して代金の20%まで(38条1項)で、別々の上限です。「両方を合算して20%まで」という選択肢が出たら、誤りです。
Q. 保全措置が必要になるのは、手付金がいくらのときですか。
A. 未完成物件では、手付金等が代金の5%を超えるか、1,000万円を超えるときです。完成物件では、代金の10%を超えるか、1,000万円を超えるときです。「超える」という言葉に注意してください。ちょうど5%やちょうど10%のときは、保全措置は不要です。
Q. 専任媒介契約と専属専任媒介契約の数字の違いは何ですか。
A. 有効期間はどちらも3か月までで同じです。違うのは、業務処理状況の報告(専任は2週間に1回以上、専属専任は1週間に1回以上)と、指定流通機構への登録期限(専任は7日以内、専属専任は5日以内)です。専属専任だけが自己発見取引ができません。
Q. 報酬の上限は、どう計算すればよいですか。
A. 税抜の代金を3つの価格帯に分けます。200万円以下の部分は5%、200万円を超え400万円以下の部分は4%、400万円を超える部分は3%です。代金が400万円を超える場合は、「代金×3%+6万円」の速算式で同じ額が出せます。低廉な空家等の特例では、代金800万円以下の物件で、説明と合意があれば税込33万円まで受け取れます。
出典と関連ページ
出典は、一次情報と本サイトのデータを区別して示します。法令の条文はe-Gov法令検索の宅地建物取引業法・同法施行令・同法施行規則、報酬の上限は国土交通省告示(昭和45年建設省告示第1552号、2024年6月21日国土交通省告示第949号による改正を含む)で確認しました。過去問の収録範囲と正解はRETIO公式PDFによります。頻度集計は本サイト収録の平成28年から令和7年までの過去問10年分・全497問のうち宅建業法198問を対象とした、問題文と選択肢のキーワードによる簡易集計です。1問が複数テーマにまたがるため、テーマ別の件数の合計は198を超えます。
関連ページとしては、宅建業法の得点源の考え方、原則から考える勉強法、過去問10年分の使い方、権利関係の頻出論点まとめ、過去問データベース、分野別ページ(宅建業法)があります。宅建業法の分野別演習は、分野別ページと過去問データベースから始めてください。
